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ぼくのネコがロボットになった

 ポロがいなくなるかもしれない。飼い猫の死に際に直面し、ぼくは、学校を休むほど何も手につかない。

 とうさんは、ポロの心のデータを開発中のネコ型ロボットに移しよみがえらせることができると言った。

 よみがえったネコと、ぼくが、リアルネコ時代の、思い込みと思い入れを乗り越え、ロボットネコと再び友情を育てる物語。

 永遠の命を得ることは本当にいいことなのか? いやいや、命は限りあるからこそいいなんて、愛するものを目の前に言えるセリフなのか? 読者の心は何度も揺らされながら、もう一度出会えた幸せの先の、やっぱり再び来るであろう別れを予感する。

 そして、動物と人間の、お互いに感じていたことが、はっきりと言葉になった時、そのシーンが全く違うニュアンスであったこと突きつけられる。はっきり知らなくたって、ふんわり慮っていた方がうまくいくことってあるじゃない? すべて理解し伝え合うことは本当にいい事なのか? 

 ロボットになったって、それは心に着るものがかわっただけで、変わらないってことではないの?

 コミュニケーション能力をみにつけましょう。大切なのは心です。スローガンのように唱えられる、教育上獲得が求められる到達点に、作者は、ことごとく疑問を投げかける。

 それでも、うまくいかないのが、人と向き合うってことじゃないの?

 心が同じなら何も変わらないのか? すべて言葉にできることはいい事なのか? 死なないことをどう受け止めればいいのか? これらの問いに明確な答えはない。

 ひとつだけ確かなことがあるとすれば、ポロはぼくが、ぼくはポロが大好きだってことだけだ。

 この本は、文明批判でも、そうなればいいなというファンタジーでもない。

 愛するネコとぼくの漂泊の物語だ。

 二人(ひとりと一匹?)は、傷つき、考え、そして、オリジナルの解決法を見つけようと必死にあがく。

 それは、ロボットとしての体の改善が可能であるという希望を持った、人間の言葉を話そうと、不死身であろうと、けっして自分の存在を否定することのない立場からの、友情の発見なのである。

 

 

                      

              書籍データ 佐藤まどか 作 木村いこ 絵 講談社 201801

| 19:58 | 児童文学 | comments(0) | trackbacks(0) |
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