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みちのく妖怪ツアー

 子どもは怖い話好きだからね〜 などという気持ちで手にとってはいけない本である。

 地続きに異界がある楽しみと、知的なブラックユーモアと、得体のしれない情念と一体化した塊と、それが生活の中にある土着的な怖さ。あぁ、それが妖怪を生み、見せるのだと、自分の中にある緩みや凝りが炙りだされる。

 東北に居を構える3人の作家の連作短編。「みちのく妖怪ツアー」に参加した、少年少女たちの物語。彼らは、妖怪に出会い、その世界へ飲み込まれていく。

 連作短編なのだが、表題には作者は記されない。文末で、作者を知ることになるわけだが、これがなかなかピタリと当たる。怪談話は形骸化された中に放り込んでこその怖さだとも思うのだが、そこに作家の個性をしっかり魅せるとは、只者ではないアンソロジーである。

 時事問題やニュースもも盛り込みながら、妖怪は、古き良き想像力ではなく、今、生きている人間の足元にうごめくものだということを描いている。そして、最後の話は、ちょっぴり今どきのファンタジーテイスト。そう、そういうファンタジーを好む読者が、「早く見つかってほしい」という言葉に共感しているその瞬間も、ほっとしていいのか、それとも、全く片付いていない、見つからなかった子どもたちの気配に怯えるしかないのか。なかなかどうしての素晴らしい構成である。 

 

 

                     

           書籍データ 佐々木ひとみ・野泉マヤ・堀米薫 作 東京モノノケ 絵

                       新日本出版社 201808

| 23:12 | 児童文学 | comments(0) | trackbacks(0) |
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