ぜひぜひ読んでほしい本のショートreviewをUPします!
<< September 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| | - | - | - |
熊川哲也 Kバレエ カンパニー 「クレオパトラ」 in Cinema

 熊川哲也が主宰するKバレエカンパニーによる公演を映像化し、映画館で上映する「熊川哲也 Kバレエ カンパニー in Cinema」

 全幕オリジナルの作品として、2017年10月に上演された「クレオパトラ」の舞台を収録。全2幕5場

 

 舞台を映像で見るのは、どこか苦手だ。視線が固定されるということはこんなに窮屈なものなのだろうかとベストロケーションであるはずの映像を見ながら思う。

 今回特に窮屈さを感じたのは、画面から飛び出んばかりのアップ画像が多く、もう少し引いてバレエを楽しませてくれという思いが沸いてきたからだ。

 しかし、おかげで、Kバレエカンパニーのダンサーの顔は覚えられたということになるのかもしれないし、映画で観る層というマーケットを考えれば、ライブの舞台とは異なる見方をするということも含め、迫力を重視した映画的手法ともいえる映像は、ありなのかもしれないと思う。舞台と映画、補完か、はたまた別物と評価すべきか、役割という言葉が、頭にちらついてどうもうまく気持ちがまとまらない。

 中村祥子(クレオパトラ) 山本雅也(プトレマイオス)スチュアート・キャシディ(カエサル) 宮尾俊太郎(アントニウス)といった出演者。本公演では、複数のキャストであったはずだから、これがベストキャストなのだろう。

 

 時代背景のテロップが文字として流れる。そのことが、人に物語を求めさせすぎるのかもしれないと思う。だからこそ、未消化な部分が気持ちに残る。もしかしたら、普通に、バレエとして見たのであれば、それはそれで良いのかもしれないのにも関わらずだ。

 

 どうも歯切れが悪くなるのは、自分の中で、このもやもやした気持ちの原因が突き止められないからかもしれない。

 

 私が確信を持って言えることは、舞台セットの美しさ、衣裳のきらびやかさ、そしてラスト5分の音楽と人々の動き、感情の在り様、それだけで、この舞台は価値があるということだ。

 

 では、きっちり着地させてくれたはずの舞台の何が不満なのだと聞かれたら、私には、クレオパトラの魅力が腑に落ちなかったのだというしかない。私は、誘惑する女、愛を迷う女という主題はとても好きだ。だからこそと続ければいいのか、にもかかわらずと続ければいいのか接続詞に迷うが、迷いや孤独を感じるには至らず、権力にものをいわせたセクハラか、自堕落な権力者同士の逢瀬にしか思えなかった。歴史の荒波の中にうごめいた人の心の闇と光、女性の抗えない業が、美にまで昇華していないのだと思う。

 性を暗喩させる踊りのバリエーションは豊かでなかなか面白いし、山本雅也演じるプトレマイオスは良かった。どうしょうもないくらい男の子で、あれではクレオパトラが男に走りたくなるのがわかるし、殺されてしまう説得力を持っていた。

 

 黄金の傾斜の前にクレオパトラが座り込む場面、大きな階段の使い方は、憎らしいくらい美しく、一服の絵のようだった。

 構図としては、時の流れの大きさと世界観、そして一人の女の孤独は描かれているのだと思う。

 そして、そこから、怒涛のラスト5分に流れ込む演出だ。

 

                                                       

 

 ライブの舞台で見たら感想は変わるだろうか。なんだか、見たいような。いやいや、きっとこれは、クレオパトラが、圧巻の美しさと妖艶さで、悲しくも美しい恋と野望と、そして孤独を、身につまされるような説得力で演じてくれない限り、どこまでいっても私には響かないだろう。

 人の評価を信じ切るつもりはないが、クレオパトラを演じたのは評判の良いダンサーのようだ。今、これが限界なのだとしたら、これは、これで終わって良いような複雑な気持ちである。

 

                        

                                                             201801 日本 芸術監督・熊川哲也

| 00:45 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| | - | - | - |









 
この記事のトラックバックURL

http://yukareview.jugem.jp/trackback/838