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瞼の母

 ご存知、長谷川伸の名作「瞼の母」と言って、今の世にどのくらい通用するものかと考えてみる。

 この物語が「ご存知」でなくなっていたら、なんだか寂しい話である。久々に見て、郷愁のような愛着に胸が熱くなった。

 

 加藤泰のローアングルとクローズアップ、中村錦之助の華麗な太刀捌きと泣きの演技。

 5歳の頃分かれた母親を探す博徒・番場の忠太郎は、弟分の半次郎(松方弘樹)を逃がすために飯岡一家の喜八たちを斬ってしまう。母を探して江戸の町へ。忠太郎を追う飯岡一家の七五郎たちもまた江戸に姿を現していた。

 料亭の女主人おはま(小暮実千代)が、江州にいたと聞いた忠太郎は、もしや生き別れの母親ではないかと会いに行く。しかし、間の悪いことに、おはまの一人娘は玉の輿の婚礼準備の真っ最中。そこへ、かつておはまがどぶ板暮らしをしていた頃の知り合いが、ゆすりまがいの無心に訪れている。

 忠太郎は、20年探した会えた喜びを吐露するが、おはまは、金銭の要求か、はたまた身代の乗っ取りかと疑い、忠太郎に冷たく接するのであった。

 豊かに暮らせど過去を封じ、娘の幸せを願うあまり、保身に走る母と、堅気ではないと呼ばれる男の純情。交わらない20年という年月の重みにやるせない思いがする。

 追い返された忠太郎とすれ違った、娘と娘もフィアンセは、似ている、お兄さんでしょうと母を問い詰める。豊かに育った二人の、穢れない言葉は、忠太郎の荒んだ心情に重なり、もはや違う世界に生きているのだという悲しさを浮き彫りにする。

 

 それにしても、中村錦之助の立ち姿の美しさ。背中で語る決意や悲哀。やっぱり錦之助は凄いとほれぼれと見惚れてしまった。

 

 

                 

                                                 1962年 東映 監督 加藤泰 主演 中村錦之助

| 00:47 | DVDなど | comments(0) | trackbacks(0) |
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