ぜひぜひ読んでほしい本のショートreviewをUPします!
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広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?

 SNSというのは、面倒なことも多いが、時々私にとてつもない楽しみをもたらしてくれる。この人面白い事いっているなぁというつぶやきに出会ったりするのだ。マエダショータというちょっとふざけ気味のアカウント、「元電通コピーライター/カウボーイ見習い」なんていうプロフィール。コメントもノリツッコミが激しくて、どこまで本気かわからない。なのに、どこか真剣で、張り詰めている感じが好きで、読んでしまう。そんな、マエダショータさんが本を出されたということで早速読んでみることにした。(知らん人やけど → マエダショータ風ノリツッコミ)

 

 まず、電通の新入社員自殺が社会問題となっている。彼女が若く東大卒で美人であったこと、長時間労働とパワハラが労働基準監督署に認められ、電通はおそらく、億単位の賠償金を遺族に支払い、電通の社長が辞任したということ。彼女がSNSでつぶやいたコメントで、電通はブラック企業だと世間から攻め立てられた。そして、また、あまりにも選民的で人をバカにした差別的な彼女の発言が存在している事実もある。社会の尻馬にのって、ブラック企業だ、長時間労働は悪いと、大企業=悪、若い女性=被害者と図式化し、社会を論じている優越感に浸るのは安易で落ち着きの良い正義感だが、そんな単純なものではないことは想像がつく。誰しも釈然としない、もしかしたら、自分に引き寄せて深く思考を働かせているのではないかと思う。しかしながら、人が一人亡くなっている以上、軽く思いは口にできない。

 

 そんな社会背景の中、ブログが注目を集め出版された本である。電通の暴露本を期待する人もマーケットに含まれているのだろうが、そんな出版側の思惑はとりあえず目をつぶることにしよう。

 この本は、元電通マンが綴る、愛と青春と、そして「元」だからこそ言える、一歩間違えればそうなってしまうことへの問題提起、そしてそうならないのは、そこに、そうしない人がいたからだろいう話である。

 原因は一つではない。だから、問題を単純化すべきではない。しかし、何かが救われる時、結構、たった一つの単純なエピソードや、存在や言葉のおかげだったりするのではないか。

 長時間労働をなくすという単純なスローガンで、企業という場所での、自由と裁量がなくならないことを祈っている一人として、この本をとても面白く共感して読んだ。

 

 作者が、自分の新人時代のエピソードを紹介している。生意気だった作者が、突然の夜間の打ち合わせをデートを理由に断った話。先輩が、そっちを優先しろと言ったというのだ。

「お前は仕事を覚えるよりもまず、大阪を好きになれ」

 この言葉は、電通という無形のものを販売する企業の根幹であり、生意気だった作者の価値観を揺さぶったものであり、先輩のカッコいい背中だったに違いない。この単純ではない影響を作者に与えた、単純なエピソードが働くという事なのだと私は思う。

 仕事場で、こんな人やこんな言葉に出会える人は幸せだ。

 

 作者の、この言葉には、企業で働くものとして共感する。

 

「オフィスで今日もカタカタとパソコンを打っているだけでは、SNSに愚痴を書き込みだけでは、何も変わらないんだ。誰も、あなたの望むようなかたちに社会を変えてはくれないんだ。

 嬉しい時は笑え、ムカついたら怒れ、悲しいと時は独りで泣け。助けてほしい時は、差し伸べられた手を握れ。

 厳しさを増す一方のこの社会においては、あなたが人間らしく振舞わないと、人として扱われないんだぞ。」

 

 仕事ができるできないなんて二の次だ。人として、この場に立つ気持ちがなければ、なにもはじまらないのだ。

 

 

 

 

 

                                               

 

                                                     

                                                書籍データ 前田将多 毎日新聞社 201702

| 12:34 | 一般書 | comments(0) | trackbacks(0) |
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