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日がさ雨がさくもりがさ

友だちとケンカした日、未央は、不思議なおじいさんに会う。傘の修理をしているというおじいさん。

買ったほうが安いかもしれないぞと、おにいちゃんは言うけれど、未央は、おかあさんに買ってもらったイチゴの長靴とお揃いの傘を大切にしたくて傘の修理を頼む。

修理する間にと、あじいさんがかしてくれた「くもりがさ」

「くもりがさ」は、くもった心にきくという。

信じられない思いで、いろいろ考えながら傘をさしていたら、不思議な青い傘には、いろいろな顔が浮かび上がってきた。その傘の表情で、友だちと仲直りできた未央。未央はみんなを楽しい気分にさせてくれるその傘を返すのが惜しくなってくる。

この傘を譲ってほしいという未央に、おじいさんは、イチゴの傘と交換するならそれでもいいと言うのだが・・・。

 

物語が、こう展開すると、不思議な傘より、お母さんが買ってくれた傘が大切に決まっているのだとストーリーを落ち着けたくなるのが人情だ。しかし、この物語はそんなところには着地しない。

 

おじいさんが、傘をみんなに貸したかったという意味を感じ取る未央。

同じ気持ちというのはどういうことかを考える未央。

 

そして、おかあさんから買ってもらった傘は、大切という言葉をこえて、未央のあるべき日常の幸福として、長靴とお揃いとして帰ってくる。

 

貴方と私というだけでない関係が生まれ始める年頃、言葉以上の含みがうまれる年頃。未央の世界は、少し大きくなり、誰かとピタッと一緒ではいられず、だけれど、守られている安心感の中に存在する。

 

子どもの世界が広がる瞬間。それは単純ではなくなるということなのだと思う。そして、。こんなにも複雑な精神的な成長を、簡単な言葉で、ありそうなエピソードでやってのけるんだから、本当に憎たらしい一冊である。

 

                                               

 

                                              書籍データ 佐藤まどか・作 ひがしちから・絵 フレーベル館 201605

| 22:56 | 児童文学 | comments(0) | trackbacks(0) |
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