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後妻業

 大竹しのぶ主演で映画化されると聞き、読んでみることにした。

 

 もはや仏に近づいているのではないかと思っても良い年齢の女性が、さらに年上の男性を色がらみで掌握し、時には、殺人さえ絡み、財産を奪うという話。人間の欲望は、死ぬまで現役なのかと思いながら、その逞しさよりも、何か、人生の最後をそんな風に迎えてしまうことへ言葉にはならない寂しさを感じる。そんな事件が時々起き、そんな事件が報道される。

 目も眩むほど、美しいわけではない犯罪者たちの姿は、何か、得体のしれない闇を見せられているようで、憤りでも、あざけりでもない、かといって他人事とは思えない後味の悪さがある。

 

 「後妻業」とは何か。結婚相談所で、高齢者を高齢者が騙し、その遺産を食いつぶす家業だ。

 騙される爺には、世間的にはごく普通の家族がおり、世間的には豊かな生活をしている。その爺が、婆に言い寄られ、遺言を書き、殺される。したたかでありながら、大事な神経が欠落している婆と、丁々発止彼女を食い物にしている男たち。すべてが刹那的で、罪悪感のかけらもない。父親の財産を取り戻そうとする姉妹と、それに協力する弁護士、そしてその委託を受けた警察あがりの探偵は、結婚相談所を強請ることを考えている。

 

 最後は後味が悪い。

 悪人は消え、正義は勝利しない。誰も何も得をせず、消化しない事実だけがポツンと読者の前に残り、また時間が流れていくのを感じる。それがこの種の犯罪の真実なのだと思いつつも、なんとも言えない思いが残る。

 これが逃げないリアリティなのだろうと思う。

 

 本の感想として書くには余談なのだが、入り口が、映画かだったものだから、映画についても言及しておこう。

 映画でも、ラストは同じだろうか。

 このラストで、テロップなのだとすれば、俳優陣はとてつもない演技力を試される場になるに違いない。

 どうしても映画が見たくなった。楽しみである。

 

 

                                                 

                                                書籍データ 黒川博行 文藝春秋 201408 

| 15:23 | 一般書 | comments(0) | trackbacks(0) |
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