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半沢直樹
 2013年の大ヒットドラマ。



 メガバンクの行員・半沢直樹(堺雅人)を描く物語。



 「やられたらやり返す! 倍返しだ! ! 」のフレーズが流行語となり、倍返し饅頭なるものが売り出される!?ほどの過熱ぶり。なんとなく興味はあったのだが、最初の方を見のがしたこともあり、見ないまま現在に至る。



  流行語のイメージから、勧善懲悪的な痛快ドラマだと思っていたが、原作の『オレたちバブル入行組』( http://yukareview.jugem.jp/?eid=687 )を読み、舞台は銀行、そうそう一筋縄ではいかない物語を、どうテレビドラマとして料理しているのか興味津々だった。



さて、本日は、朝から一気にDVDで全話を見た。



バブル経済末期に銀行に入行した半沢直樹は、現在融資課長。



 夢を持って入行した世代ではあるが、25年経過した現在は、行内で中心的な役割を担うようになり、そろそろラインか否かで出向していく同期もいる。



 西大阪スチールという会社に、5億円の融資契約を取り付けることになるが、支店長の浅野(石丸幹二)から強引な指示と、新規融資にも関わらず「無担保」という無謀さを危ぶみながらも、一度進みだした組織の歯車は、半沢にも制止できず、融資は実行されてしまう。融資によって営業目標を達成した大阪西支店は、名誉ある最優良店舗賞を初受賞。



融資からたった3か月で、西大阪スチールはあっけなく倒産した。発覚する粉飾決算。



合併でメガバンクになったはいいが、「旧・産業中央銀行」出身者、「旧・東京第一銀行出身者」の派閥に分かれ出身会社で足を引っ張り合う権力闘争。



 そんな中、出世に執念を燃やす浅野支店長は、今回の失態の全責任を半沢直樹一人に負わせようと画策するのだった。



 いかに、債権を回収するのか。社内の派閥争いと人事の枠組みをのなかで、どう生き延び、人間らしい友情を築き、維持していくのか。



 同期のキャラクターも、飄々と組織に順応しているように見せて強い信念を持つ渡真利忍(及川光博)と、強い正義感があだになり、心の病を抱えて出向させられる近藤直弼(滝藤賢一)とリアリティがある。



 半沢直樹の正義感、融資がらみで死を選ばざるをえなかった中小企業の社長である父の復讐と、バンカーとして恥じない生き方をしたいという思いは、大企業組織と個人の関係を図式的にうまく描いているように思う。愛と憎しみの複雑なる日常化である。



 面白いのは、正義は役職、場所に関わらず、貫くか、貫けないかという視点で描かれているのだが、悪には、しっかりとランク付けがされていることだ。薄汚い目先の欲と保身にに振り回される悪人と、ぽっかりと底の見えない暗闇を感じる悪とその大きさに見合う許容量を持った悪人。

 

 悪で、魅力的だったのは、やはり「旧・産業中央銀行」出身の大和田(香川照之)



 半沢直樹を面白がり、少し怖がり、権力と立場を利用した悪にどっぷりつかっているクセに、不思議な威厳と余裕を持っている。どこか他人事のように自分の人生をみている感じも含め、大きな組織の中のこういう得体のしれない怖さの象徴的存在なのだと思う。



 「旧・東京第一銀行出身者」の中野渡頭取(北大路欣也)は、すべてを見通している。派閥を超え、人間を掌握している、企業の良心のように見せかけながら最後に、やってくれる。



 昨年亡くなった父が、半沢直樹は面白いから見た方がいいと私に言った。



 最後の、人事、あれがサラリーマンの現実なんだと。



 父自身、サラリーマンとして生きていく中で、少なからず立ち合い、経験したことなのだろう。

 それが面白いと、それが現実なのだと矛盾する言葉で表現する物語の結末こそが、この物語の魅力なのだと思う。



 正義は、成功には直結しない。



 だけど、人は正義と、成功を望む。



 そのバランスのせめぎ合いこそが人生なのだ。



 その現実を突きつけながらも、このドラマは諦めではなく、熱と怒りでその不条理を語っている魅力があるのだと思う。










    



           2013年 TBS
| 23:47 | テレビ | comments(0) | trackbacks(0) |
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