ぜひぜひ読んでほしい本のショートreviewをUPします!
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ことのは 北村麻衣奈作品集
 19歳で亡くなられた娘さんの作品を、お母さんが一冊の本にした。

 そんな作品集である。

 小学校、中学校、高校のそれぞれの時代に書いた、詩、俳句、短歌、歌のようなもの。

 

 この、作者と編み手が適切な距離を失っているはずの本を、その情報を得て適切な距離を失っているはずの読者である私は、どう感じるのだろうか。そんなことを思いながら読み始めた。



 そこには、感傷的な匂いは一切なかった。

 今を生きる少女の、その瞬間の言葉があって、感傷などという言葉を持ち出した自分を恥じなければいけないくらいのリズムと生命力があふれていた。



 「ごめん」って 言えなかった

 わかってたのに

 わたしが わるいって




 少女にしか拾えない言葉がある。

 どんなに巧みになっても、どんなに理論構築ができるようになっても、我々は、あの一瞬にしかものにできなかった言葉と、表現に出会った時、憧れにも似た嫉妬を覚える。

 無防備でストレートなその言葉と表現に、どんなに手練手管をつくしても届かないから。

 ここにある少女の言葉は、私に、過去となった若さを突きつける。さかのぼれない時間の流れを感じさせる。

 しかし、この詩に感じるのは、敗北でもノスタルジーでもない。失ったはずの若さに、なぜか追いつきたくなるようなこの感触は、この作品群が持つ、瑞々しい生命力の影響なのだろう。この表現を、この言葉をどうしたら手にすることができるのだろうと私は頭を悩ませる。その瞬間、私は紛れもなく、あの時間を再体験しているのだ。






     書籍データ 北村麻衣奈 どりむ社 201212
| 23:12 | 一般書 | comments(0) | trackbacks(0) |
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