ぜひぜひ読んでほしい本のショートreviewをUPします!
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おじぎをした なつめやしの木
 おばあちゃんのおはなし と、ある。
 出版社の本の紹介には、新約聖書「エジプトくだり」の挿話を、砂漠にたたずむ、なつめやしのまなざしで描く、イエス民話。と、ある。
 しかし、絵本の中にはそんな情報はなく、静かな世界が広がっているだけだ。

 男女の旅人が、砂漠を歩く。
 太陽の光と、夜の闇、飢えを抱え、のどを乾かせ・・・そして、その旅人は二人ではなく、三人であることが明かされる。女の腕には、赤ちゃんが抱かれているのだ。
 毒蛇、獅子、盗賊、彼らは様々な危険に出会うが、不思議な力に守られているかのように、危険は彼らを避けて、通り過ぎていく。しかし、彼らの旅は終わらず、飢えも渇きも続いていく。

 最後に現れる、なつめやし。
 なつめやしは、彼らをずっと待っていたのだ。
 彼らの存在に気付いたなつめやしは、頭を垂れ、やしの実を彼らに与える。

 彼らの旅は続く。
 そして、彼らを待っていたなつめやしは、枯れ、朽ちていく。

 なんとも不思議な話である。その子がイエスだと語られない物語は、不思議さだけを読者の胸に残す。
 司修の、静けさを湛えた絵だけが、人生そのもののように静かに彼らの旅を描写する。

 それでも良いのではないかと私は思う。
 信仰というものは、おばあちゃんが、語る、伝え聞いた、説明できない不思議の中にこそあるのかもしれない。
 この、静けさと奇跡が、そういうことであったと気付くのは、大人になってからでも良いのではないだろうか。

 

                 
                書籍データ 司修 文と絵 ぷねうま舎 201410
| 23:09 | 絵本 | comments(0) | trackbacks(0) |
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