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思い出をレスキューせよ! “記憶をつなぐ”被災地の紙本・書籍保存修復士
 岩手県大船渡市の紙本・書籍保存修復士 金野聡子さんを追ったノンフィクション。



 そこに人がいたということ、紙という記憶媒体。

 物語は、単純なようで複雑な思いを読むものに残こす。



 専門学校を卒業後、広告用のポスターを作る仕事をしていた金野さんは、憧れていたイギリスで語学と美術を学ぶことにする。そこで出会った、修復の仕事。日本の和紙が、海外の古書保存に大きな役割をになっていることを知り、自分の育った土地と文化を激しく意識するようになる。

 帰国した、金野さんを襲った、東日本大震災。

 津波で流された、写真や手紙を洗浄、修復する治療を、ボランティアとして開始する。



 金野さんが、迷いなき夢への欲求と行動力で、つかんだ技術と人脈。そのすべてを駆使して災害と向かい合い、復興のために必要な、人々の過去と、未来を生き抜くための力をも修復、治療していくのだ。



(思い出の品とは、そこに生きてきた人たちの、歴史そのものだわ。それぞれの記憶が未来へつながらなければ、ほんとうの復興はあり得ない)



 そんな確信のもと行動している金野さんも迷いを感じることがある。
このままボランティアでいることが、人々の甘えを強くして、長期に渡って必要なはずの活動の妨げになるのではないか。
現実を直視する中で、意志と使命感で、活動を継続することを選ぶ姿。



 強い意志と、迷いなき行動力で夢を掴み、人と、現場を動かす様子に感動していた私は、この悩みに気持ちを揺さぶられる。まったく、その通りであるという思いと、金野さんをはじめて襲った迷いのように感じたからだ。しかし、私は、その迷いと、その後の行動を記した文字を追ううちに、この人は、迷わない人なのではなく、無駄な迷いをしない人なのだと思い直した。そして、もう一度、その姿に感動したのである。



 読み終って残るのは、紙の手触りと、記憶を受け継ぐ形あるもののの温もりの感触である。



 金野さんの、職人としての意識が、芸術と生活を、人間の生命力として結び、次、明日への広がりにまで繋いでいく。



 金野さんは、言います。

「受けついだ記憶を未来へ引きつぐことは、ゴールのないバトンリレーなんです」

 そのバトンをにぎっているのは、まさに、今を生きるわたしたちなのです。












      書籍データ くもん出版 堀米薫 201402
| 17:59 | 児童文学 | comments(0) | trackbacks(0) |
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