ぜひぜひ読んでほしい本のショートreviewをUPします!
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土着の魂 旅人の目
 今日は、ある小学校で、本の紹介。
 手渡し手の方々へは、よく講演会のような形式で本の紹介をさせていただく私ではあるが、なかなか、授業として話させていただくチャンスはない。
 子どもたちに、ダイレクトにおすすめの本を語れる喜びを感じながら、低学年、中学年、高学年にわかれて、三時間の授業をさせていただいた。

 今回、どんなコンセプトで話をしようかと考えていた時、『もののけ温泉 滝の湯へいらっしゃい』 (参考 →  
http://yukareview.jugem.jp/?eid=723 )を読んだ。
 作者の佐々木ひとみさんの、創作指針が「土着の魂 旅人の目」であることを知り、とても感銘を受けた。この言葉は、書き手だけのものではなく、読者としても、そういう気持ちで本と向き合えば、きっと素晴らしい出会いが出来るはずだと思った。
 いろいろ考えてはみたが、とても大きな意味と深さを持った言葉だ。なかなか咀嚼するには手ごわい。そこで、率直に、子どもたちにこの言葉をぶつけることにした。
 
 三時間とも、すべての授業を、『もののけ温泉 滝の湯へいらっしゃい』の説明と、作者がどんな気持ちでこの本を書いているかを話した。
 今、ここにいる自分、自分につながる何か、そして、ありきたりの風景が、好奇心と想像力を働かせれば、新しい発見に満ちたものになるということ。
 そんな思いで、本を選んだと伝えた。
 
 各授業とも、だいたい十冊強。
 絵本は、なるべく全て読んで、物語は一部を読んだり、紹介したりした。

 何を紹介したかは、最近のブログの内容と重なるので省略するが、最後の〆に読んだのは、

 低学年が、『いっちゃん』 (参考 → 
http://yukareview.jugem.jp/?eid=634 )
 中学年は、『たからもの』 (参考 → 
http://yukareview.jugem.jp/?eid=279 )

 高学年は、星新一の『ボッコちゃん』(新潮文庫)の中から、 「おーい でてこーい」 を朗読した。
 「おーい でてこーい」はテレビドラマ化もしているので、ご存知の方も多いショートショートであろうと思うが、地震で村の社が崩壊し、得体の知れない穴が現れるというもの。
 最初は、きつねの穴かと思い「おーい でてこーい」と叫ぶが、反響もない。石を投げ込んでも反応がない。この穴は、報道され、学者にも研究されるが、どうやら底なしの様子で、それに目をつけた利権屋が穴を買い取り、産業廃棄物を投棄し始める。原子力のカス、機密書類。人々は、全てこの穴に廃棄物を任せ、どんどん世の中を美しく開発していく。
 ところがある日、突然、天から、「おーい でてこーい」という声が聞こえて・・・。
 恐るべき事実は、この今日を予言するような作品が書かれたのが1958年、今から55年も前だということだ。

 その学年に応じた、足元が揺らされる本を選んだつもり。

 視聴覚室での授業だったため、子どもたちは、授業が終わるとすぐに教室に帰らなければならない。そのわずかな時間に、前に押し寄せてきてくれて、本を手に取ってくれたのは嬉しかった。

 子どもたちの気持ちを捉えたのは、読んだ本ではなく、紹介だけした、分厚い本の方が多かったのが意外だった。
 『もののけ温泉 滝の湯へいらっしゃい』は、どの学年の子にも好評だった。低学年には少し難しいかもしれないと、迷ったのだが。無駄な悩みだった。
 中学年では、難しい本も読めるようになった学年だからこそ、こういう文字のない絵本も読んで欲しい。小さい頃とは、絶対違う何かを受け止められるはずだといって紹介した絵本、『かようびのよる』 (参考 → 
http://yukareview.jugem.jp/?eid=262 )に男子たちが5人くらいで集まってくれた。そして、女の子が駆け寄ってきて、
「この本好きなの?」
と、聞いてくれたのが、『魔女じゃないもん!』 (参考 → 
http://yukareview.jugem.jp/?eid=713 )
「うん、好きだよ!」
と、答えたら、
「私、こういう本大好き。学校の図書室にあるといいけど、ないかもしれない。でも、絶対読む!」
と、言ってくれた。
「読んで。絶対読んで、面白いから。」
 授業内容を反復できた貴重な時間。
 高学年には、やはり、『マジックアウト』 (参考 → 
http://yukareview.jugem.jp/?eid=720 )のインパクトは絶大だ。表紙に力がある本というのは、こういう本を言うのだと思う。女の子の二人組みが、宝物のようにずっと抱えていた。
「ママに、図書館連れて行ってもらうんだ。」
 本当に至福の時としか言いようがない。

 高学年の授業が終わった後、中学年で授業を受けてくれた男の子が、再び、視聴覚室に登場。片付けをする間だけでいいから本を見せて欲しいとのこと。
 彼らのご執心は、
 一人が、『オバケの長七郎』 (参考 → 
http://yukareview.jugem.jp/?eid=728 )
 もう一人が『いえでででんしゃ』(新日本出版社 あさのあつこ&佐藤真紀子)
 片づけが終わっても、かえしてくれなくて、とうとう教員の方が、明日図書館で借りてきてあげると約束してくださったほど・・・。

 貴重な時間をいただいて感謝している。
 本当に、楽しかった。

 
              ボッコちゃん (新潮文庫)
| 22:59 | 講演会 | comments(0) | trackbacks(0) |
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