ぜひぜひ読んでほしい本のショートreviewをUPします!
<< December 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
咬ませ犬
 「咬ませ犬」と、いう言葉をはじめて聞いたのは、小学生の時だった。
 時代劇でか? ボクシングでか? それとも、それを見る大人たちの会話からか? 場面は定かではない。
 闘犬で、訓練のため若い犬がかみつく相手となる犬を指す「咬ませ犬」には、試合から引退した老犬などが使われるらしい。転じて、格闘技などで、引き立て役として対戦させる弱い相手のことを意味して使われる言葉だ。
 正義と理想の塊のような年代でその言葉を知ったわけだが、私の心に不思議と嫌悪はなかった。世の中は不平等なものだとは思いはしたが、その理不尽の象徴のような「咬ませ犬」に、蔑みや哀れみの気持ちは一切持たなかった。
 下劣な観客はもちろん、主催者や、スポンサーのエゴは遠く、咬ませ犬は確かに舞台の上にいる。闘う人間に貴賎はない。そんな感情を漠然とではあるが抱いたのではないかと思う。

 死につながることも多い、圧倒的不利な状況の中での戦いだ。その上、すべての人が相手の勝ちを望み声援を送っている。そんな中でも、人は、誇り高く舞台の上に立ち続けられるのだろうか?
 屈辱の気持ちと、折り合いをつけながら、最後まで闘い抜けるものだろうか?
 今は、そんなことを考えている。
| 23:31 | 言い訳 | comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| | - | - | - |









 
この記事のトラックバックURL

http://yukareview.jugem.jp/trackback/669