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神様 2011
 小さな本である。
 収録は、短編二作のみ。
 「神様」 と 「神様2011」
 「神様」は、1993年に書かれた川上弘美のデビュー作。
 「神様2011」は、福島原発事故の後、作者が、変容した、それでも流れていく日常をとらえなおした作品。ほぼ変化の無い文章と、明らかに変わってしまった日常と、ほぼ変わらない世界のあり方と、激変した小道具。二つ並べて読むことに、深い意味を感じる本だと思う。

 くまにさそわれて散歩にでる。川原に行くのである。

 「いい散歩でした」
 くまは305号室の前で、袋から鍵を取り出しながら言った。
 「またこのような機会を持ちたいものですな」

 「いい散歩でした」
 くまは305号室の前で、袋からガイガーカウンターを取り出しながら言った。まずわたしの全身を、次に自分の全身を、計測する。ジ、ジ、という聞き慣れた音がする。
 「またこのような機会をもちたいものですな」

 警告やスローガンではない、たんたんと流れ行く日常の確かな怒りである。 



           神様 2011
                書籍データ 講談社 川上弘美 201109
| 23:42 | 一般書 | comments(0) | trackbacks(0) |
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