ぜひぜひ読んでほしい本のショートreviewをUPします!
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バクのなみだ
 こねこのミュウは、えっちゃんの部屋で、バクに出会う。
 バクは、えっちゃんの悪い夢を食べていたのだ。
 悪い夢は、苦くて、砂みたいだというバク。

 弱っていくバクと、素敵な夢ばかり見るようになったえっちゃんの家族。ミュウの心配、そして、バクは「ぼく、もう、いられない」とえっちゃんの家を去ってゆく。

 実体としての関係性の持続を描かずに、一人ひとりが迫ってくる感じが、面白い。
 自分のキャラクターゆえに、与えられた役割範囲を越え、結局、この愛する場所を去らなければ、生きていけないと判断せざるをえなくなったバク。そして、そのバクの姿を認め、受け止めるミュウ。
 バクの深い孤独を、自分の役割と行いの狭間で傷つかざるを得ないキャラクターで描きながら、そのことに気付かずに生活しているえっちゃんを、我が事として読者に突きつけてくる。
 想像力とは、見知らぬ誰かの傷に気付くことでもある。
 ミュウがいてくれてよかった。だけど、私は、この本を、想像力と優しさを育てる絵本だとは紹介できない。
 暖かい色調の、豊かな物語であるが、読後に残る言いようのない寂しさは、生きているということと、優しく想像力があるということは、どこかしらで軋むのだということを感じるからかもしれないと思う。
 優しい世界観の中に、心あるがゆえの生き難さと孤独が描かれている。

                   バクのなみだ
         書籍データ 岩崎書店 あまんきみこ・作 安井淡・絵 197507
| 07:10 | 絵本 | comments(4) | trackbacks(0) |
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はじめまして。

海外在住のものです。
たまたま今日のランチタイムに同僚と絵本の話題になり、
昔読んで号泣した「バクのなみだ」の話になりました。
今懐かしくいろいろ検索していて、こちらのページに
たどり着きました。
レビュー、そのとおりですね。自己犠牲にも近い行い、
誰にも知られることのない(幸いミュウがわかってくれますが)バクの行為。別の名作「与える木」をちょっと思い出しました。
| セサミ | 2012/07/13 21:59 |
セサミ様

お返事遅くなって申し訳ありません。
海外にお住まいとのこと。同僚の方との会話をきっかけに、幼い頃に培われた美意識は、きっと望郷の思いと、愛する人たちの面影とともにセサミ様の胸に甦ってきたのでしょうね! そんな貴重な時間のお供を、このブログ記事がさせていただいたと読ませていただき、光栄です!
あまんきみこさんの作品は、どれも優しく、強い世界観、そして音楽に匹敵する美しい音を持つ無駄の無い、豊かな言葉を持っていると思います。
海外でも、あまんきみこさんの世界が、セサミ様の近くにありますように!
| ゆかちゃん☆ | 2012/07/16 08:33 |
素敵なレビューでした。本当にそうだな、と思いました。想像力とは、生きる上での見えない軋みに気付いてしまうことかも知れませんね。ありがとうございました。
| nobio | 2016/05/05 20:50 |
nobio様

コメントありがとうございます。
最近、更新をサボっているのですが、こうしてコメントいただくと自分の言葉が時空を超えて誰かの気持ちに響く不思議を感じます。

また、言葉をつづっていこうと思います。
| ゆかちゃん☆ | 2016/05/29 17:17 |









 
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